左の写真はカナダに滞在していた時に公園でクラスメイトとBBQをした時のものです。
何気ない写真ですが、実はこの中に写っている日本人は私一人で、あとは韓国人、ロシア人、ユーゴスラビア人、北朝鮮人と国家レベルではとてもじゃないけど一緒にBBQなんて出来ないメンバー(?)
パブリックスクールで朝の数時間だけ、移民の為の英語クラスで勉強していた時に知り合った私達は、カナダという異国の地でお互いの国の文化や言葉を交換し合いながら一緒に出かけたりと友好を深めていきました。
世界中の厳しい現状の国から毎年多数の移民を受入れているカナダでは、半分バカンス気分でカナダに渡った私のような人間には想像すら出来なかった辛い経験をしてきた人が沢山いました。あまりにも考えさせられる出会いが多かったのも事実ですが、今まで名前しか知らなかった国の文化や現実を知る様々なきっかけを与えてくれました。
実際にその国の人達と言葉を交わすと言うことは、TVやラジオ、雑誌からは伝わってこなかった「真実」が時に見えたりします。
たとえば数多くのユーゴスラビア人が内戦で祖国を失いカナダに逃れてきましたが、私はここで彼らに出会わなかったら同じ時代の同じ地球でそんな悲劇にあっている人達が実際にいるなんて現実として捉えることが出来なかったかもしれません。
飢えや戦争で肉親や兄弟、友人を失ったこともなければ、仕事だって選ばなければ得られる日本人の私に、この人たちの本当の悲しみや苦しみが理解できるはずはないけれど、「知らなかった」時よりも「知った」ことで少しずつ何かが変わるかもしれない。
そして前列の黄色い帽子を被った彼は北朝鮮から家族で亡命し(恐らく韓国に)、当時はカナダで職を得ようと頑張っていたようです。彼から、徴兵制度で軍隊に入隊していた時のあまりにも過酷な話を実際に聞き、その時はまだ拉致問題も浮き彫りになっていない頃だったので、徴兵制度の無い日本で育った私はどこか信じられないような気持ちで聞いていました。
韓国人と北朝鮮人、日本人と北朝鮮人、そしてひと昔前までは韓国人と日本人だってお互いの国の間に様々な歴史と問題を抱え、こうやって個人でも仲良く食事するなんて難しいことだったのではないでしょうか。カナダという第三国で国籍を超え、こうやって友好を深められたことは私にとってもかけがえのない体験でした。
英語はなかなか上達しなかったけれど、カナダで様々な文化や背景を持った人達との出会いによって考えさせられたことすべてが今でも私の中で息づいていると思います。
日本に帰国してから、「ニュースを見る角度」や「物事の捉え方」がほんの少しだけ変わった気がします。そして日本では当たり前に得られる環境にも感謝の気持ちを持つことが出来るようになりました。
小さな変化だけれど・・・、
大きな変化かも知れない。。。
この写真の中の私達のようにすべての国の人達が国境を越えて笑顔でいられる日が来ることを願っています。