与論島は「魂の島」とも言われている。
「魂の島」・・・、作家の森瑤子さんがこの島を愛し、まるで恋人に逢いに行くように度々島を訪れ、「アイランド」などの小説もここで執筆されていたというのは有名な話だが、一体そこには何があるのだろう、旅に出る前、私は「魂の島」の意味が判らずにいた。
与論島の中でも、観光客も地元の人もあまり訪れそうにない場所に、森さんのお墓はひっそりと佇んでいた。
バイクを止め、そっと手を合わせる。
・・・静かだった。
だけど、そこから望む海は森さんが生前そう表現されていたように、「トルコブルー」にキラキラと輝いていた。
その夜、隣のコテージに宿泊していた、知り合ったばかりの女の子と
かりゆしバンドさんの生ステージを楽しめるという民謡酒場を訪れた。
そのステージの中で「たましいの島」という曲を聴いた。歌詞が心に響いた。
「魂の島」の意味、やっと少しだけ理解できた気がした。
店内に不思議な一体感と、その場に居合わせた人達、誰もが受け入れてもらえるような温かい空気が流れる。
初対面の人同士が皆で手を取り合い、そして踊りだす。
はるか日本の南に魂の住む島があるという 美しい海と珊瑚に包まれた島があるという
そこにいけば懐かしい人に会えるという はるか南の島は魂の島だという
心が淋しいときに訪れる島があるという 優しい愛と自然に抱かれた島だという
そこにいけば命を守る暮らしがあるという 誰もがみんな自分の家で死ねる島があるという
家族に守られて魂の先立つ島だという そこに行けば誰もが命永く生きるという
(かりゆしバンド「たましいの島」より歌詞抜粋)
最期に必ず帰る場所がある、見守ってくれる人がいるって、生きていくうえでも何て大きな意味を持つのだろうと思った。与論島ではこの風習だけは、今も変わらずに受け継がれているのだと言う。島には寺がひとつもないのに・・・。
初めて会った方達と、与論の地酒(黒糖焼酎)を飲み交わしながら、1曲ごとに輪になり、観光客も地元の方達も、外国からのお客さんも皆一緒になって分け隔てなく踊り明かした夜は、旅の忘れられない想い出の1コマとなった。
この島の観光客にリピーターが異様に多いわけが分かった気がする。
あるんだな、こんなところ。
あんなに楽しそうな大人達を久しぶりに見た。
気付くと、店にいる人全員が笑顔だった。
この島の人、言葉、唄、自然には不思議な力がある。
魂が帰ってきたくなる場所かもしれない。
つづく・・・。
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