チャップリン

猫のチャップリンを拾ったのは、私がまだ中学生の時だった。

今にも雪が降り出しそうな寒い寒いクリスマスの朝、
家の近所をウロウロと彷徨っている生後半年ほどの子猫がいた。

野良猫の多い町ではあったけど、この辺りでは見かけたことがない珍しい猫だった。
飼い猫かもしれないからと暫く放っておいたけど、その猫は夕方になってもまだ彷徨っていた。

私は足元に擦り寄って離れないその子猫を抱え、家に連れて帰った。
当然母親には怒られたけど、飼い主が見つかるまでという約束で面倒を見ることになった。
寒さに震え、お腹を空かせ、よほど寂しい思いをしていたのだろう。
家の中を嬉しそうに走り回り、家族全員に甘え、その夜は喉を鳴らしたまま安堵した顔で眠った。

ところが翌々日、あんなに元気だった子猫が餌を全く口にしなくなった。
鳴き声も弱くなり、ほとんど動かなくなってしまった。
このままでは死んでしまう。家族で相談して子猫を車に乗せ、動物病院へ駆け込んだ。
寒い中何日も外で過ごし、餌も探せず変な物を口にしていたため高熱を出しているとのこと。
点滴を打ってもらい、子猫を家に連れて帰ったその夜、私は泣きながら神様に祈った。
この子を助けてくれたら何でもします。この子を大切にします。だから命を助けて下さい!

翌朝、「ニャーニャー」と私を呼ぶ声で眼が覚めた。子猫がすっかり元気になっていた。
母親も猫を看病するうちに情が移ってしまったらしく、結局家で飼うことになった。
その頃古いアメリカ映画が好きだった私は猫をチャップリンと名付けた。

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その後、中学、高校の頃の私といえば反抗期真っ只中で親とは喧嘩ばかりしていた。
気持ちも不安定で体調を崩しやすく、入院もした。
一人落ち込んでいる時、チャップリンは必ず傍に寄り添ってくれた。
私が少し元気を取り戻すまで、眼を逸らさず、絶対に傍を離れなかった。
部屋で泣いていると枕元までやってきて、私の顔をなめ続けた。普段は素っ気無いのに・・。

チャップリンとは3年ほど一緒に暮らしたが、弟の喘息が酷くなり一緒に住めなくなった。
けれどすぐ近所に住んでいる親戚の家で飼ってもらえることになり、
子供のいない伯父と伯母はそれはもう我が子のようにチャップリンを可愛がってくれた。
途中数年間、祖母が同居した際はチャップリンがいつも祖母に寄り添ってあげていたそうだ。
私も実家に帰った時はいつも親戚宅へ寄り、チャップリンと会っていたのでそう寂しくなかった。
名前を呼ぶと必ず返事をしてくれるチャップリンが大人になってからもずっと大好きだった。

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祖母も旅立ち、一緒に暮らしていた小型犬リリーも昨年旅立ち、
落ち込む伯父と伯母を励ますように生きていたチャップリン。
寒い冬のあの日、私がチャップリンを拾ってから、気付けば20年の月日が経っていた。
猫の平均寿命が10~15年と言われる中で、
足腰は少し弱っていたものの大きな病気もせずに元気だった。

そんなチャップリンが危篤との連絡が入ったのはつい先日のこと。
この一週間、伯母と伯父と母と私で出来ることは何でもした。何でもしてやりたかった。
最期が迫る中、チャップリンが起きている間は頭を撫でてやりながら沢山話かけた。
寝返りも自力ではできず、もう声も出せないほど弱っていたけど、
最後まで凛とした眼でみんなを見つめていた。

4/19の午後9時過ぎ、チャップリンは静かに天国へと旅立った。
老衰だったので、これ以上は生きられないという限界まで生きてくれた。
私が結婚するまで心配でなかなか旅立てなかったのだろうか。結婚式からちょうど4ヶ月目だった。
獣医さんにも、伯父にも伯母にも、母にも「チャップリン、今までよく頑張ってくれたね」と褒められ、
最後の1週間はずっとみんなに囲まれ、献身的に看病され、愛に包まれながら過ごしたと思う。

今はまだ、チャップリンのことを想うとみんな涙が止まらないけど、
たった一匹で凍えながら彷徨っていたあの時より、
チャップリンが幸せだったと思ってくれるなら何も言うことはない。
ひょっとしたら20年前の12/25、サンタクロースがチャップリンを運んできたのだろうか。
だって私達はチャップリンに出合えてどれだけ沢山の幸せな時間を貰っただろう。

長生きしてくれて、ありがとう。



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by gara_romance | 2011-04-21 18:03 | その他
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