頭の中の消しゴム
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私の祖父と祖母は共に新潟の出身だったが、敗戦をきっかけに、命からがら親類を頼って今の横浜市に難を逃れてきたのだという。
祖父は家族経営の小さな会社を一代で築き、さらに老後は鶴見区の教育問題や社会問題にも積極的に取り組み、地域への貢献にも惜しみない力を注いでいた。祖父の部屋には市や国から贈られた感謝状や賞状が所狭しと飾られている。誰に対しても温かい眼差しを向け、謙虚でどこまでも努力家の祖父はいま思えば、本当に大きな人だった。あまり良い子ではなかった私のことも「いい子だね、優しい子だね。大好きだよ」と言ってよく頭をなでてくれたっけ。。

私が中学生の時、そんな祖父が心臓発作で突然逝ってしまった。
誰もが心の準備が出来ていなかった。とかく祖母は取り乱し、そして翌日に、ボケてしまったのだ。だから葬式にも、その後の法事にも参列していない。
頭の中の祖父との想い出だけが消去されてしまったかのように、先日亡くなるまでの14年間、結局一度も祖父のことは口に出さなかった。
頭も良くて健康そのものだった祖母にとって、祖父を失った次の日からそれでも生きていくために、記憶を失うということは、自分を守るたったひとつの手段だったのかもしれない。

大切な人を失うということは、こんなにも壮絶なものなんだ。一晩で記憶を失うほど。。
祖母の深い悲しみを想うと、胸が痛い。

この一週間、電車に乗っていても、道を歩いていても、ふと気付くと涙が頬を伝っていることが幾度かあった。でもそれは悲しい涙だけではない。旅立った祖母が、そんな最愛の祖父とまたやっと手を取り合えたかと想うと、やっぱり泣けてくるのだ。

身近な人に惜しみない愛情を注げる人が、いや、注げることが幸せそのものなのかもしれない。
祖母は最後の最後まで、私に色々なことを教えてくれた。
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by gara_romance | 2007-04-11 00:49 | その他
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